勘定科目の解説 事業活動計算書 事業費 被服費 社会福祉法人会計
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厚生労働省の勘定科目の説明 被服費
被服費
出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
利用者の衣類、寝具等(介護用品及び日用品を除く)の購入のための費用をいう。
勘定科目説明の解説
費用科目の解説について
事業活動計算書の費用科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。
被服費
今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。
大区分 | 中区分 | 小区分 |
事業費 | 被服費 | - |
大区分は、「事業費」です。
ご利用者の処遇に直接要する費用になります。
平成12年度に制定された(旧)社会福祉法人会計基準の科目説明には
大区分についても説明がありました。
事業費支出
平成12年 社会福祉法人会計基準 事業活動収支計算書勘定科目の説明より
利用者の処遇に直接要する費用をいう。
中区分は「被服費」です。
ご利用者さんのための衣類、寝具の費用です。
被服費の範囲
社会福祉法人が被服費に計上していく内容は、下のようになります。
NO. | 区 分 |
① | ご利用者のために用いられるもの |
② | (利用者のための)衣類 |
③ | (利用者のための)寝具 |
① ご利用者のために用いられるもの
「被服費」に計上していくものは、ご利用者に提供される診療・療養等材料と考えていくことが妥当でしょう。
職員さんの制服代等の場合には「職員被服費」を用います)
② ご利用者の衣類
利用者さんの衣類の購入費用を計上します。
③ ご利用者の寝具
利用者の寝具についても、「被服費」に計上します。
なお、「介護用品費」や「日用品費」に該当するものは含まれません。
寝具とは、「寝るときに用いる、布団・毛布・寝巻・枕など。夜具。」のこと
出典「デジタル大辞泉」小学館より
注意点 貯蔵品(貸借対照表・流動資産)の計上
被服費の注意点としては、決算において、貸借対照表の科目「貯蔵品」の計上を検討する必要があることです。
被服費として購入したもののうち、決算日現在、未使用のものがあれば、棚卸しを行い、数量、金額を把握して、貸借対照表の科目「貯蔵品」に計上していきます。
決算日現在、されずに保管されている(利用者用)衣類・寝具は、棚卸資産として貸借対照表に計上しておき、使用した時点で、費用(被服費)として計上するという考え方になります。
区 分 | 当年度内に費消分 (使用済み分) | 決算日現在、未使用分 |
利用者のために購入した衣類・寝具 | 被服費 (事業活動計算書・事業費) | 貯蔵品 (貸借対照表・流動資産) |
貯蔵品の計上と重要性の原則
社会福祉法人会計基準には、「重要性の原則」という考え方があります。
重要性の原則では、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理を行わずに、簡便な方法を採用することができます。
衣類・寝具の金額や内容に、重要性が乏しい場合には、決算日現在の医薬品の未使用分についても、貯蔵品(流動資産)として計上せずに、被服費(費用)に計上する方法を採用することができると考えられます。
「貯蔵品(被服費)」の重要性の原則の適用について 厚生労働省の見解
貯蔵品(被服費)にも「重要性の原則」が適用されるどうかについて、厚生労働省の見解が平成23年のパブリックコメントの結果に記載されています。
(給食用材料についての回答になります)
ご意見 | 回答(考え方) |
給食用材料の計上について、現実的に給食用材料の棚卸は大変な手間を伴い困難ではないかと思う。また実際に多くはすぐに消費するものではないか。資産としての価値も低い。重要性に乏しく、計上しない選択もできるようにして欲しい。 | 重要性の原則は全ての取り引きに適用されますので、実態に即してご判断いただいて結構です。 |
社会福祉法人会計基準の重要性の原則の規定
社会福祉法人会計基準
(会計原則)
第二条
一~三 略四 重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができること。
社会福祉法人会計基準
簡単な説明です
被服費
ご利用者さんの衣類や寝具の費用です。
科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。
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勘定科目の解説の一覧
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マツオカ会計事務所のストーリー
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。