社会福祉法人が人材サービスを利用する際の注意点について②(人材紹介サービスへの規制や取組みの動向)
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質問の内容
当法人では人材サービスの費用が大きくなってきています。人材サービスの動向や注意点を教えてください。 |
職業紹介(人材紹介)サービスに対するこれまでの規制や取組み
職業紹介事業の手数料の高騰などについて
医療・介護・保育分野(3分野)に関する職業紹介事業の手数料の高騰などについて、国でも様々な議論が行われてきています。
医療・介護・保育分野に従事する労働者を採用する際の職業紹介事業者に支払う手数料が高い・転職勧奨により早期離職してしまうといった指摘等があり、「医療介護福祉保育職等の人材の円滑な確保を考える議員連盟」(会長:根本匠議員)を中心に対応策が議論されてきた。厚生労働省では、議連での議論等を踏まえ、各種措置を講じてきた。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会(第107回)資料「職業紹介・労働者派遣について」より
実施されてきた厚生労働省の各種措置・取組みについて
平成30年1月1日に施行された主な規制や取組
- 手数料等の情報開示義務
- 返戻金制度の推奨
- 就職後2年間の転職勧奨の禁止
令和3年4月1日に施行された主な規制や取組
- 「就職お祝い金」などを禁止(指針の改正)
令和3年8月に施行された主な規制や取組
- 「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度(認定・公表)」を創設
分野 | 医療 | 介護 | 保育 |
---|---|---|---|
対象職種 | 医師、看護職、リハビリテーション専門職、医療技術者、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、看護助手・歯科助手、栄養士・管理栄養士 | 介護職、リハビリテーション専門職、介護支援専門員、生活・支援相談員、機能訓練指導員、栄養士・管理栄養士、医師、看護職 | 保育士 |
労働局・ハローワークに設置・拡充された取組み
- 都道府県労働局に「医療・介護・保育」求人者向け特別相談窓口』を設置
- ハローワークの人材確保対策コーナーを拡充
職業紹介(人材紹介)サービスに対するこれからの取組み
職業紹介事業に関する国の規制改革実施計画の内容
規制改革実施計画(抜粋)
項目 <医療・介護・感染症対策分野> (4) 働き方の変化 への対応・運営の合理化
下は、国の規制改革推進計画「<医療・介護・感染症対策分野> (4) 働き方の変化 への対応・運営の合理化項目番号18」の内容になります。
項目番号18 | 医療・介護・保育分野における人材確保の円滑化のための有料職業紹介事業等の制度の見直し |
---|---|
内容 | 厚生労働省は、医療、介護(高齢者のみならず、障害者等に対するものを含む。以下 本項において 同じ。)及び保育分野(以下「3分野」という。)における人手不足を背景に、3分野の求人者において、職業紹介事業者(以下「紹介事業者」という。)に支払う紹介手数料に対する負担感が強く、また、一部の3分野の事業者において短期間での離職が多いとの指摘があることを踏まえ、既に、「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」の創設、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針(平成 11 年労働省告示第 141 号。以下「指針」という。)の改正によるいわゆるお祝い金の禁止、都道府県労働局への「『医療・介護・保育』求人者向け特別相談窓口」の設置、ハローワークにおける3分野のための人材確保対策コーナーの拡充などを実施してきたものの、依然として3分野の人手不足は深刻であり、また、3分野を扱う紹介事業者の有料職業紹介業務の質や、紹介手数料やいわゆるお祝い金などに関する問題も引き続き指摘されていることを踏まえ、次の措置を講ずる。 |
次の措置の内容
上記の「次の措置」は、下のa~eになります。
区分 | 内 容 | 実施年度 |
---|---|---|
a | 厚生労働省は、3分野を扱う紹介事業者において、お祝い金 その他これに類する名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することを禁止する指針の規定や紹介事業者がその紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限。)に対し2年間の転職の勧奨を禁止するといった指針の遵守が徹底されるよう、3分野の求人者向け特別相談窓口をより広く周知し、3分野の求人者からの相談を積極的に受け付けるとともに、3分野を扱う紹介事業者への集中的指導監督を実施する。なお、その際、紹介事業者による指針違反の具体的状況を求人者が把握することは困難であることを踏まえた相談受付を行うとともに、集中的指導監督に当たっては、紹介事業者の紹介先求人者等に対す る調査を含め、より実効性のある調査手法を活用することとする。 | 令和5年度措置 |
b | 厚生労働省は、 a の集中的指導監督の効果を把握した上で、必要に応じ所要の措置を検討する。 | 令和6年度検討 |
c | 厚生労働省は、求人者が紹介事業者を選択する際の参考となるよう、3分野を扱う紹介事業者により就職した者の離職や紹介手数料に関する統計データを適切に利活用することにより、実勢手数料の平均値及び分布並びに職種別離職率について、地域(紹介事業者数に応じて、都道府県又はより広域のエリア)ごと及び職種ごとに、毎年度公表する方向で細部を検討し、結論を得る。 厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開されている紹介事業者ごとの離職状況について、「判明せず(人)」欄に多数を計上しており、離職率の正確な状況が明らかでない紹介事業者が存在することを踏まえ、当該欄に計上した人数が相当程度多い紹介事業者に対して、追跡調査を徹底させるとともに 、これら離職者数の公表期間を、現行の2年から5年へ延長する。 | (前段)令和5年度検討・結論、(後段)令和5年度措置 |
d | 厚生労働省は、求人者が適正な紹介事業者を選択できるよう、「医療・介護・保育分野にお ける適正な有料職業紹介事業者の認定制度」について、更なる改善を図るため、3分野の求人者のニーズを踏まえ、 6か月以内の離職の場合に相当額の手数料の返還を行うことを含め、認定基準の追加等について検討し、結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。 | 令和5年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置 |
e | 厚生労働省は、ハローワークの人材確保対策コーナーを中心に、労働者が定着しない個々の理由に着目した求人者への支援強化を、関係機関と協力して実施する。また、業界団体と連携したイベントの開催等を積極的に実施するとともに、オンライン上での求人者・求職者双方の利用を推進する。ハローワークが求職者支援のみならず求人者に対する支援機能をこれまで以上に発揮するとともに、介護施設等の合理的な選択を可能とするため、ハローワークごとの職種別の就職実績を毎年度公表する。 | 令和5年度措置 |
次の措置の内容の要旨
規制改革実施計画(抜粋)の「次の措置」として検討することとされている内容の要旨は下のようになります。
規制改革実施計画(抜粋)での新たな取組み(検討事項)の要旨
医療・介護・保育分野における人材確保の円滑化のための有料職業紹介事業等の制度の見直し
- 3分野の求人者向け特別相談窓口をより広く周知する。
- 3分野の紹介事業者への集中的指導監督を実施する。その際には、求人者に対する調査を含めたより実効性のある調査手法を活用する。
- 3分野の紹介事業者の実勢手数料の平均値・分布や職種別離職率を地域・職種ごとに毎年度公表する方向で細部を検討する。
- 「人材サービス総合サイト」における離職者数等の公表期間を2年から5年に延長する。
- 「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」について、6ヶ月以内の離職の場合に相当額の手数料の返還を行うことを含め、認定基準の追加等を検討する。
- 厚生労働省は、ハローワークの人材確保対策コーナーを中心に、労働者が定着しない個々の理由に着目した求人者への支援強化を、関係機関と協力して実施する。
- 業界団体と連携したイベントの開催等を積極的に実施するとともに、オンライン上での求人者・求職者双方の利用を推進する。
- ハローワークごとの職種別の就職実績を毎年度公表する。
次回の記事について
次回の記事では、これまでの職業紹介(人材紹介)サービスへの規制・取組みの内容について項目ごとに内容を確認をしていきます。
社会福祉法人会計の勘定科目について、科目ごとに、分かりやすく解説をしています。
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(参考)人材サービス関連の記事一覧
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