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勘定科目の解説|社会福祉法人会計

長期貸付金|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方

はじめに

社会福祉法人会計では、
法人が第三者に資金を貸し付けている場合、
その返済期限に応じて 短期貸付金長期貸付金 に区分して整理します。

長期貸付金 は、
貸借対照表日の翌日から起算して、
回収期限が1年を超えて到来する貸付金 を対象とする勘定科目です。

「ホームページ利用上のご注意について」をお読み頂き、これらの条件にご同意の上ご利用ください。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui


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厚生労働省の勘定科目の説明

長期貸付金
生計困窮者に対して無利子または低利で資金を融通する事業、
法人が職員の質の向上や福利厚生の一環として行う奨学金貸付等で、
貸借対照表日の翌日から起算して入金の期限が1年を超えて到来するものをいう。

出典
「社会福祉法人会計基準の制定に伴う
会計処理等に関する運用上の留意事項について」

この定義から分かるとおり、
長期貸付金は、
社会福祉事業として行われる貸付
職員向けの福利厚生として行われる貸付 を想定した科目です。


社会福祉協議会における長期貸付金

社会福祉法人のうち、
一般の方を対象とした貸付制度を継続的に行っているのは、
主に 社会福祉協議会 です。

社会福祉協議会では、
生活福祉資金貸付制度など、
制度として位置づけられた貸付事業を行っており、
返済期間が1年を超えるものについては、
長期貸付金として計上されます。


一般の社会福祉法人における長期貸付金

社会福祉協議会以外の一般の社会福祉法人では、
一般の方を対象とした貸付を行うケースは多くありません。

一方で、
次のような目的で、
職員を対象とした貸付 を行うことがあります。

  • 資格取得を目的とした奨学金貸付
  • 福利厚生の一環としての生活資金貸付

これらのうち、
返済期限が1年を超えるものは、
長期貸付金として整理されます。


短期貸付金との区分

貸付金は、
返済期限により次のように区分されます。

  • 短期貸付金
    貸借対照表日の翌日から起算して、
    1年以内に回収期限が到来するもの
  • 長期貸付金
    回収期限が1年を超えて到来するもの

また、
長期貸付金のうち、
決算日後1年以内に回収予定の部分については、
1年以内回収予定長期貸付金 として
流動資産に振り替えて表示します。


貸付金規程の重要性

長期貸付金は、
法人の資金を一定期間拘束する取引であるため、
貸付条件や返済方法を明確に定めておくこと が重要です。

そのため、
職員向けの貸付を行う場合には、

  • 貸付の目的
  • 貸付金額
  • 返済期間・返済方法
  • 返済免除の有無や条件

などを定めた
貸付金規程(奨学金規程等) を整備しておくことが求められます。


会計処理と管理上の留意点

長期貸付金については、

  • 貸付残高が適切に管理されているか
  • 返済状況が把握されているか
  • 返済遅延や回収不能のおそれがないか

といった点を、
定期的に確認しておく必要があります。

回収に懸念が生じた場合には、
内容に応じて
徴収不能引当金の計上 を検討することもあります。


まとめ

長期貸付金は、

  • 回収期限が1年を超える貸付金を整理する科目であること
  • 社会福祉協議会の制度貸付や職員向け貸付が主な対象であること
  • 短期貸付金との区分は返済期限で判断すること
  • 規程整備と継続的な管理が重要であること

これらを整理して理解しておくことで、
貸付金に関する決算や監査対応を、
制度に沿って落ち着いて進めやすくなります。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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