専門的財務監査のポイント⑬ 「4 支出(2)運営費 ①人件費関連経費 2)人件費テスト」について ~企業主導型保育事業~
企業主導型保育事業の専門的財務監査
企業主導型保育事業の人件費テストとは、
職員さんが実在し、
実際の勤務実績をもとに給与が支払われているかを確認する手続きのこと。
専門的財務監査で公認会計士(監査法人)は
- 職員の実在性
- 勤務実績がきちんとあること
- 給与計算の正確性
- 補助金の対象外経費が混ざっていないか
を“証拠書類に基づいて” 遡って検証するため、非常に丁寧な確認が行われる分野です。
児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。
今回は、4 支出(2)運営費 ①人件費関連経費 2)人件費テストになります。
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専門的財務監査の評価基準の内容とポイントの4コマ漫画
4 支出(2)運営費
①人件費関連経費
2)人件費テスト

🌟 1.人件費テストの監査ポイント(ア〜イ)
● ア:人件費の実在性テスト
監査の基本的な手続き
- サンプル月を選び、職員数名をランダム抽出
- 抽出した職員について給与台帳・出勤簿(勤怠)・雇用契約書・労働者名簿 を突き合わせる
- 給与計算が“証拠に基づいて”行われているかを確認
監査の視点
- 台帳の金額と勤怠記録が一致しているか
- 雇用契約の勤務時間と実労働が矛盾していないか
- 勤怠と給与の月ズレがないか
- タイムカード・労働者名簿が整備されているか
NG例
- 資料が存在しない
- 雇用契約書が未締結
- タイムカードと給与金額の整合性が取れない
- 記録があいまいで数字の説明ができない
● イ:補助金対象外人件費の混入を確認するテスト
人件費テストのもう1つの目的は企業主導型保育の運営費から“対象外人件費”が支払われていないか
を検証すること。
監査で確認される内容例
- 配置基準外の職員に支払った給与が含まれていないか
- 本部職員(事務員など)の人件費が紛れていないか
- 他の事業(延長保育・企業連携外の保育)分が混入していないか
- 嘱託医、外部専門職の支払いが補助対象の範囲に沿っているか
ここが特にポイント
- 保育従事者・調理従事者・施設長など “配置が求められる職種” の人件費だけが対象
- それ以外のバックオフィス職員は対象外
- 対象外の人件費を運営費から支出すると指摘される
🌱 2.人件費テストの具体的な流れ(実務イメージ)
監査法人が行う手続きは次のとおり。
- 前期決算月(多くは3月)を含む数か月の中から “サンプル月” を選択
- 無作為に複数名の職員を抽出
- 以下の証憑を突合
✔ 労働者名簿
✔ 雇用契約書(時間・給与体系)
✔ 出勤簿(タイムカード)
✔ 給与台帳
✔ 支払の記録(振込控・元帳)
- 証憑どうしの整合性を確認
- 補助金対象外人件費が混ざっていないか確認
- 必要に応じて追加の資料調査(ヒアリング含む)
🌱 3.よくある監査の指摘(実務で起きやすい)
● 契約書の時間と実勤務時間が違う
→ 超過勤務手当の計算ミスにつながる
● タイムカードが押されていない日が多い
→ 証拠不足として指摘
● 保育従事者でない事務員の給与が区分されず計上されている
→ 対象外支出として指摘
● 給与台帳と総勘定元帳の金額が一致していない
→ 会計処理のミス
● 月途中の入退職の計算根拠がない
→ 在籍実績と給与金額の整合性が取れない
🌟 4.人件費テストのポイントまとめ
人件費テストでは、次の3つが揃っているかが焦点になるで。
✔ 職員さんが実在している(労働者名簿・契約)
✔ 実際に働いた証拠がある(勤怠記録)
✔ 証拠に基づいて給与が支払われている(給与台帳・総勘定元帳)
さらに、
✔ 補助金対象外人件費を混ぜていない
ことが特に重要。
(参考)専門的財務監査の評価基準と社会福祉法人のポイント解説
専門的財務監査の評価基準と項目ごとの社会福祉法人のポイントを掲載しています。
| 区分 | 監査事項 | 評価事項 | 社会福祉法人のポイント |
|---|---|---|---|
| ア | 前期決算月の3月及びその他期中のサンプル月を 前年度及び進行年度で選び 人件費項目について実在性テストを行い、 | ・テスト対象人件費について、 給与賃金台帳や出勤簿等その実在性を確認するエビデンスが存在しない。 | ○労働者名簿、雇用契約書、タイムカード、給与台帳等が作成されているか。 ○関連する書類、帳簿間の整合性が取れているか。 ○従事する職員が実在しているかサンプル(複数名)を抽出してテストが行われます。 ○雇用契約書や労働者名簿、タイムカードを基に正しく給与計算が行われて支給がされているか。 |
| (アの続き) 補助金対象外人件費等が含まれていないか検証する。 | ・補助金対象外人件費が含まれている。 | ○配置が求められている職員以外の人件費が、企業主導型保育事業(拠点、サービス)から支出されていないか。 |
企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和6年度
下のリンクから指摘事項のページに進みます。
企業主導型保育事業に関する4コマ漫画
「まんがの部屋」コーナーでは、内容ごとに4コマ漫画で説明しています。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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