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企業主導型保育事業 専門的財務監査

専門的財務監査のポイント⑰ 「4 支出 ⑶親族、役員や関係会社等との取引」について ~企業主導型保育事業~

企業主導型保育事業の専門的財務監査

令和3年度から、企業主導型保育事業に対して専門的財務監査が行われています。
専門的財務監査は、監査法人(公認会計士等)によって行われることになります。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

今回は、4 支出(3)親族、役員や関係会社等との取引

本のご案内 1から学べる社会福祉法人会計

専門的財務監査の評価基準の内容とポイント
4 支出(3)親族、役員や関係会社等との取引

専門的財務監査の評価基準の内容の横に、ポイントとなるところを記載していきます。

NO.監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
第三者ではなく、親族、役員や関係者等と取引を行う場合は、

それが保育事業遂行上、合理的必要性があるか質問や関係資料等の閲覧等によって確かめる。
・その取引に保育事業遂行上の合理的必要性がない。または、乏しい。業務委託の理由(必要性)を説明できるようにしておく
人件費やその他経費全般について、

親族、役員や関係会社(親族や役員が経営する会社を含む)との取引がないか質問を行い、

その承認手続きや取引条件や価格等が不公正なものでないか契約書等を閲覧して検証する。
・承認手続きが行われていない。

・承認手続きに不十分な面がある。

・契約書が存在しない。

・契約書の内容が不十分な面がある。
○業務委託の内容について、理事会その他の必要な承認が得られているか、議事録・稟議書で確認する

○委託先との契約書の締結と保管状況の確認

○契約書の記載内容に不備がないか確認する(他の業務委託契約書の記載内容も参考にする)

(1)
特に親会社、その他関係会社等との

コンサルタントフィー、マネジメントフィーや
共通経費の保育施設への按分負荷額については

契約書や請求書等でその中身を検証し、

保育施設が実際にサービスの提供を受けているか計算明細書等を閲覧して金額等の妥当性を検証する。

・実際にサービスを受けていることを確認できる資料がない。

・説明や根拠資料に不十分な面がある。


○委託業務の執行状況を確認する。

○契約書や請求書・計算書の内容を確認する。

○他の拠点と共通する業務委託費の場合には、共通経費の按分基準を確認する
ウ(2)役員と資金の貸付、借入取引がある場合は、

貸付・借入契約書の存在を確認し、返済条件等が公正に定められていることを検証する。
・契約書がなく、取引条件が公正でない。また、公正であることを十分に説明できない。 ○借入・貸付時に契約を締結している確認する

○借入・貸付の条件は、妥当な条件となっているか確認する(金融機関との借入条件などとも比較してみる)

関係会社に対して保育事業の運営を委託している場合は、

「4⑵②3)運営委託費・その他業務委託費全般(コンサルタント契約等)」の手続を実施すると同時に

他の契約者との取引条件と比較して妥当であることを示す記録が残されているか確かめる。
・他の契約者との取引条件と比較して妥当であることを示す記録が残されていない。

・その内容が他の契約者との取引条件と比較して妥当でない。(例:特に委託先にとって有利な取引条件になっている等)
○運営委託費の金額の算出根拠資料の確認

○他の事例等で契約金額の合理性を確認した資料を準備しておく
法人本部において、法人税申告書の修正申告や更生の通知があったかを質問し、

その内容が保育施設に関連する場合には、その内容を吟味し、その後、不適切な取引が修正されているか確かめる。
・必要な修正がなされていない。○修正申告や更生の有無や内容を確認する

役員や関係会社との取引(業務委託)の注意事項

専門的財務監査だけでなく、社会福祉法人の指導監査においても役員や関係会社との業務委託費(業務委託契約)は監査上の重要な論点になります。

業務委託に関して確認しておきたい事項

  • 契約書の締結・保管
  • 契約内容の妥当性
  • 契約金額の妥当性
  • 適切な承認手続き
  • 委託業務の執行状況の確認

役員や関係会社との取引(業務委託契約)の注意事項

専門的財務監査だけでなく、社会福祉法人の指導監査においても役員や関係会社との業務委託費(業務委託契約)は監査上の重要な論点になります。

業務委託に関して確認しておきたい事項

  • 契約書の締結・保管
  • 契約内容の妥当性
  • 契約金額の妥当性
  • 適切な承認手続き
  • 委託業務の執行状況の確認

役員や関係会社との取引(業務委託契約)の注意事項

専門的財務監査だけでなく、社会福祉法人の指導監査においても役員や関係会社との業務委託費(業務委託契約)は監査上の重要な論点になります。

役員や関係会社との取引(借入・貸付)の注意事項

役員や関係会社との借入・貸付についても、監査上の重要な論点になります。

借入・貸付に関して確認しておきたい事項

  • 契約書の締結・保管
  • 借入・貸付の必要性、妥当性
  • 借入・貸付条件の公正性、妥当性
  • 適切な承認手続き
  • 返済状況の確認

3)運営委託費(運営委託する事業者に限る)

運営委託契約の締結

社会福祉法人が企業主導型保育事業を運営する場合に、運営を他の事業者(他の法人)に委託するケースはまれではないかと考えます。

関係会社等に企業主導型保育事業の運営を委託する場合には、適正な手続きが行わなれているか確認が必要になります。

理事会決議

運営の委託契約の締結は、法人の業務執行の意思決定になり、原則として理事会の承認(決議)が必要になります。

(企業主導型保育事業の運営委託は、法人の重要な業務執行の意思決定になってくるため、理事長の専決は難しいのではないかと考えます。不明な場合には、予め所轄庁に相談し、指示を受けましょう)

議事録

理事会で慎重な審議の状況が分かるように、議事録に適切に記録していきましょう。


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マツオカ会計事務所のストーリー

よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。



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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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