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勘定科目の解説|社会福祉法人会計

前払費用|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と実務の考え方

はじめに

前払費用は、社会福祉法人会計において
一定の契約に基づき、将来受ける役務に対して、先に支払った対価を整理するための勘定科目です。

日常業務では「すでに支払っているお金」という意識が先に立ちやすい一方で、
会計上は、まだ費用として計上すべきではない部分を切り分ける役割を持っています。

前払費用の考え方を整理しておくことで、
各年度の費用を適切に対応させることができます。

「ホームページ利用上のご注意について」をお読み頂き、これらの条件にご同意の上ご利用ください。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
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厚生労働省の勘定科目の説明

前払費用
一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、
いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。

出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

この定義のポイントは、
「一定の契約」「継続して」「役務の提供」「まだ提供されていない」
という点にあります。


経過勘定としての位置づけ

前払費用は、
次の科目とあわせて 経過勘定 と呼ばれることがあります。

これらの科目はいずれも、
時間の経過によって収益や費用を配分するための調整科目
という共通点を持っています。


前払費用の基本的な考え方

前払費用は、
当月分の費用を、前月以前に支払っている場合に用いられます。

たとえば、

  • 保険料
  • ソフトウェアの利用料
  • 駐車場代
  • リース料や保守契約料

など、
契約に基づいて一定期間ごとに役務の提供を受けるものが該当します。

支払時点ですべてを費用にするのではなく、
提供を受けていない期間分は前払費用として資産に計上し、
実際に役務の提供を受けた期間に対応させて費用化します。


期間による区分

前払費用として計上できるのは、
原則として、1年以内に役務の提供を受けるものです。

1年を超える期間にわたる前払いについては、
長期前払費用として固定資産に区分されます。

同じ前払いであっても、

  • 役務の提供期間が1年以内か
  • 1年を超えるか

によって、
計上する勘定科目が異なる点に注意が必要です。


未収収益・前受収益との違い

前払費用は「費用」に関する経過勘定ですが、
収益に関する経過勘定と対になる関係にあります。

整理すると、次のようになります。

  • 未収収益
    当月分の収益を、翌月以降に受け取る
  • 前受収益
    当月分の収益を、前月までに受け取っている
  • 前払費用
    当月分の費用を、前月までに支払っている
  • 未払費用
    当月分の費用を、翌月以降に支払う

いずれも、
「○月分」という考え方を基準に整理することで、
区分しやすくなります。


実務で押さえておきたいポイント

前払費用を管理する際には、

  • どの契約に基づく支払いか
  • 何か月分の前払いか
  • 決算日時点で、どの期間分が残っているか

を把握できる状態にしておくことが重要です。

契約ごとに支払時期や期間が異なるため、
一覧表などで整理しておくことで、
決算時の確認がスムーズになります。


まとめ

前払費用は、
社会福祉法人会計において
費用を期間配分するための重要な調整科目です。

  • 契約に基づく前払いであること
  • まだ提供を受けていない役務に対応すること
  • 提供期間に応じて費用化すること

これらを整理して理解しておくことで、
月次・決算・監査のいずれの場面でも、
実務を安定して進めやすくなります。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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