長期前払費用|社会福祉法人会計で押さえておきたい基本と考え方
はじめに
社会福祉法人の会計では、
一定の契約に基づき、役務の提供を受ける前に対価を支払う取引が少なくありません。
そのうち、決算日後1年を超えて費用化される部分 を整理するために用いられるのが、
長期前払費用 という勘定科目です。
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厚生労働省の勘定科目の説明
長期前払費用
出典:「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
時の経過に依存する継続的な役務の享受取引に対する前払分で、
貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて費用化される
未経過分の金額をいう。
この定義から、
長期前払費用は、支払済みであるものの、まだ費用とはならない部分 を
期間対応の考え方に基づいて整理する科目であることが分かります。
経過勘定としての位置づけ
長期前払費用は、
前払費用・未払費用・前受収益・未収収益とあわせて、
いわゆる 経過勘定 に分類される科目です。
経過勘定は、
現金の支払や受取と、費用・収益の計上時期を一致させるために用いられます。
このうち前払費用について、
決算日後1年以内に費用化される部分は 前払費用、
1年を超える部分は 長期前払費用 として区分されます。
長期前払費用に該当する取引
長期前払費用に該当するのは、
継続的に役務の提供を受ける契約に基づき、
複数年分を一括して前払いする取引です。
代表的なものとしては、
- 火災保険料
- 自賠責保険料
- 複数年契約のクラウドサービス利用料
などが挙げられます。
いずれも、
支払時点では全額を費用とせず、
契約期間に応じて期間配分する ことが前提となります。
貸借対照表上の区分
長期前払費用は、
固定資産 に区分して表示されます。
ただし、
決算日現在で 1年以内に費用化される部分 については、
固定資産から流動資産の 前払費用 へ振り替える必要があります。
この振替により、
貸借対照表上の資産区分と、
費用計上の時期が整理されます。
管理上の留意点
長期前払費用については、
- どの契約に基づく支払か
- 契約期間はいつからいつまでか
- 決算日時点で未経過となっている期間はどれだけか
といった点を把握しておくことが重要です。
契約内容や支払時期がばらつくため、
契約ごとに一覧管理しておくことで、
決算時の確認がスムーズになります。
まとめ
長期前払費用は、
- 継続的な役務提供に対する前払分であること
- 決算日後1年を超えて費用化される部分を整理する科目であること
- 固定資産として計上し、1年以内分は前払費用へ振り替えること
- 契約内容と期間管理が重要であること
これらを押さえておくことで、
費用の期間配分を制度に沿って落ち着いて判断できるようになります。
記事の執筆者のご紹介
著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

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