企業主導型保育事業の専門的財務監査
令和6年度は、企業主導型保育事業の専門的財務監査が400施設で実施されました。
専門的財務監査は、監査法人(公認会計士等)によって行われています。
今回は、こども家庭庁の資料から、令和6年度の専門的財務監査の指摘事項を確認していきます。
専門的財務監査の実施施設数
| 区 分 | 令和6年度 |
|---|---|
| 実施施設 | 400施設 |
| うち改善を要する施設 | 394施設 |
| うち改善不要な施設 | 7施設 |
実施施設の選定基準
こども家庭庁の資料によると、専門的財務監査の実施施設の選定は、下のような基準によって選定されています。
基本的な考え方
専門的財務監査、再監査の実施については、監査法人及び協会の有資格者、有識者(会計・経理経験者)
出典:子ども・家庭庁資料「令和6年度企業主導型保育事業について・委託事業の実績について」より
等の運用も考慮し約400施設(再監査施設を含む)を選定。
再監査については、令和3年度~令和5年度までの3ヵ年の監査において必要な書類が整っていない場合
や監査当日に監査に対応できる担当者や責任者が不在のため調査の不備が生じた、または監査の実施に至
らなかった場合なども含め再監査の必要性のある施設、及び設置事業者の指摘事項の多かった施設を選定。
令和6年度再監査対象施設は16施設となった。
監査実施施設の選定基準
| 区分 | 選定基準 |
|---|---|
| 最優先 | 監査実施年度前年における立入調査や完了報告の審査において、助成金の適正な管理・使用の観点で指摘(把握)があった施設を最優先に対象とした。 |
| ① | 運営費の助成額が3,000万円以上の施設(※)のうち、過去の立入調査で財務関係の指摘を受けた施設から選定。 |
| ② | 助成額の条件に限らず、審査上の問題施設やこども家庭庁から個別に指示のあった施設について、追加で選定される可能性がある。 |
監査実施主体
| 委託先 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 実施施設数 | 200施設 | 100施設 | 100施設 |
専門的財務監査は、児童育成協会から再委託先A~Bに委託し、実施されています。
これまでの監査から、委託先A~Cは、大手の監査法人(※)と考えることができます。
(※)監査法人とは、公認会計士より構成される法人です。
専門的財務監査での指摘事項
指摘事項の内容欄のリンクから、説明ページへ進みます。
| No. | 指摘内容 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|---|
| 1 | ・運営費完了報告の収⽀決算書に助成対象外の⽀出が計上されている。 | 298 | 376 |
| 2 | ・現⾦の管理(現⾦実査等)が適正でない。 | 175 | 219 |
| 3 | ・固定資産の現物実査が行なわれていない。 | 173 | 218 |
| 4 | ・経費⽀出の計上額が不明確または誤っている。 | 144 | 223 |
| 5 | ・保育事業に関わる経理規程が設定されていない、または内容に不備がある。 | 139 | 192 |
| 6 | ・発注業務に関する規程または規定が定められていない。 | 127 | 173 |
| 7 | ・保育事業の予算に対する実績管理の未実施または予算・実績管理帳表作成の不備がある。 | 95 | 118 |
| 8 | ・契約締結に関わる競争見積の取得等、経済的合理性の確認⼿続きが未実施または⼿続の証跡が確認できない。 | 94 | 101 |
| 9 | ・積立資産の管理が適正でない。 | 78 | 51 |
| 10 | ・親族、役員や関係会社との取引の適正性が確認できない。 | 75 | 123 |
企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和6年度
下のリンクから指摘事項のページに進みます。
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著者情報 この記事を書いた人
松岡 洋史
Matsuoka Hiroshi
公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳
地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。
