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勘定科目の解説 マツオカ事務所オリジナル

勘定科目の解説 事業活動計算書 固定資産売却損・処分損 車両運搬具売却損・処分損 社会福祉法人会計

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厚生労働省の勘定科目の説明 車両運搬具売却損・処分損

車両売却損・処分損
車輛運搬具を売却又は処分した場合の売却損又は処分損をいう。

出典「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」

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勘定科目説明の解説

費用科目の解説について

事業活動計算書の費用科目については、中区分の分類を用いながら小区分の科目を解説していきます。

車両運搬具売却損・処分損

今回、解説する勘定科目の体系は下のようになっています。

大区分中区分小区分
固定資産売却損・処分損車両運搬具売却損・処分損
送迎バス 車両売却益

大区分は、「固定資産売却損・処分損」になります。
時として、法人の固定資産を処分することがあります。

固定資産売却損とは、固定資産を処分する際に、他の事業者に売却するケースで、売却時に損失が生じた場合に計上されます。
処分損は、固定資産を売却せずに、処分(廃棄等)をした時点での帳簿価額が、処分損になります。

車両売却

中区分は「車両運搬具売却損・処分損」です。法人の車両を売却した時に、損失が出た場合や、車両を処分した場合ですね。

社会福祉法人では、保有する車両を売却することはあまりないかもしれません。車両を更新する際に、下取りに出すケースをイメージしてみるといいかもしれません。

下取り価格がある場合には、下取り価格と、帳簿価額を比較して

下取り価格 ー 帳簿価額 = 差額が

プラスなら「車両運搬具売却益
マイナスなら「車両運搬具売却損・処分損」が計上されます。

下取り価格がゼロならば、帳簿価額が「車両運搬具売却損・処分損」になります。

差額の状況勘定科目
下取り価格 > 帳簿価額車両運搬具売却益
下取り価格 < 帳簿価額車両運搬具売却損・処分損
下取り価格 =    0車両運搬具売却損・処分損
下取り価格 = 帳簿価額

車輛運搬具の範囲

車両運搬具とは、「人またはモノ」を運搬することを目的とするものです。

作業場で、作業をすることを目的とするものは、「機械及び装置」になります。

勘定科目車両運搬具機械及び装置
使用目的人やモノの運搬作業場での作業
具体例乗用車
消防車
電気・蒸気機関車
自動二輪車
自転車等
トラッククレーン
ブルドーザー
パワーショベル
トラクター
コンクリートポンプ車等

車両運搬具売却損・処分損の計算

売却損の場合

計算例

車両運搬具を売却した場合、資金収支計算書と事業活動計算書に計上される科目を見ていきましょう。

資金収支計算書事業活動計算書貸借対照表(参考)
車両運搬具売却収入 車両運搬具売却益
または
車両運搬具売却損・処分損
車輛運搬具

以下を例に計算してみましょう。

※保有している車を買い替えのため、下取りに出した。

NO.区   分内   容
取得価額(購入金額)1,500,000円
取得した日(登録日)令和2年5月15日
耐用年数6年
売却した日令和4年8月5日
売却代金(下取価額)520,000円
資金収支計算書

勘定科目「車両運搬具売却収入」で説明します。

事業活動計算書

①の売却日現在の帳簿価額を計算して、⑤売却代金との差額を計算します。

社会福祉法人会計では、事業用の車両を毎期、減価償却していきます。売却時時点での減価償却費控除後の帳簿価額を計算していきます。

一般的には、固定資産管理台帳で計算していますね。

資産名取得価額期首帳簿価額
(令和4年4月1日現在)
当期減価償却費
(4月1日~8月5日分)
売却時の帳簿価額
送迎用車両1,500,0001,019,875104,375915,500
減価償却費の計算は、月割計算をしています。

固定資産管理台帳などによる減価償却費の計算結果を基に、⑤売却代金と⑥売却時の帳簿価額の差額を計算します。

 ⑤520,000-⑥915,500=△395,500(車両運搬具売却損・処分損)

車両運搬具売却損・処分損を計上します。

計算書類勘定科目金額
事業活動計算書車両運搬具売却損・処分損(⑤ー⑥)395,500

会計処理

計算例の会計処理(仕訳)を見てきましょう。

(1)当期減価償却費の計上(4月1日~8月5日分)

  当期分の減価償却費が計上できていない場合には、減価償却費を計上していきます。

借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
減価償却費104,375減価償却費の計上104,375車輌運搬具
(2)売却時の仕訳

売却代金は、普通預金に入金されたこととします。

ア 事業活動計算書及び貸借対照表に係る仕訳
借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
現金預金520,000車両の売却915,500車輌運搬具
車両運搬具売却損・処分損395,500
イ 資金収支計算に係る仕訳

社会福祉法人会計では、事業活動計算書や貸借対照表とともに資金収支計算書を作成する必要があります。

資金収支計算書を作成するためには、アの仕訳と合わせて、資金収支計算書に係る仕訳が必要になります。

資金収支計算書に係る仕訳は、一般的に、社会福祉法人会計ソフトで自動に行われることが多いです。

借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
支払資金520,000車両の売却520,000車輌運搬具売却収入

売却損の場合の事業活動計算書と資金収支計算書の関係

車両運搬具売却損が発生した場合、

事業活動計算書は費用の科目(損失)に計上されますが、資金収支計算書は収入の科目に計上されます。

売却益の場合

計算書類区 分勘定科目
事業活動計算書収益車両運搬具売却益
資金収支計算書収入車両運搬具売却収入

売却損の場合

計算書類区 分勘定科目
事業活動計算書費用車両運搬具売却損・処分損
資金収支計算書収入車両運搬具売却収入

処分損の場合

計算例

車両運搬具を売却せずに処分(廃車)した場合、資金収支計算書と事業活動計算書に計上される科目を見ていきましょう。

資金収支計算書 事業活動計算書 貸借対照表(参考)
なし車両運搬具売却損・処分損 車輛運搬具

以下の計算例を用います

NO.区   分内   容
取得価額(購入金額)1,500,000円
取得した日(登録日)令和2年5月15日
耐用年数6年
処分した日令和4年8月5日
売却代金(下取価額)0円
処分損の計算

車両を処分する場合には、処分時に残っている帳簿価額を処分損として計上します。

資産名取得価額期首帳簿価額
(令和4年4月1日現在)
当期減価償却費
(4月1日~8月5日分)
処分時の帳簿価額
送迎用車両1,500,0001,019,875104,375915,500
減価償却費の計算は、月割計算をしています。

計算書類勘定科目金額
事業活動計算書車両運搬具売却損・処分損(⑥)915,500

会計処理

計算例の会計処理(仕訳)を見ていきましょう。

(1)当期減価償却費の計上(4月1日~8月5日分)

  当期分の減価償却費が計上できていない場合には、減価償却費を計上していきます。(売却損の場合と同じ)

借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
減価償却費104,375減価償却費の計上104,375車輌運搬具
(2)処分時の仕訳

ア 事業活動計算書及び貸借対照表に係る仕訳
借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
車両運搬具売却損・処分損915,000車両の処分損915,500車輌運搬具
イ 資金収支計算書に係る仕訳

車両の処分の場合には、お金の収入はないことから、資金収支計算書は計上されません。

借方科目借方金額摘要貸方金額貸方科目
なしなし

固定資産売却益と固定資産売却損

上記の計算例ように、固定資産売却損益は

固定資産の売却代金(a)と売却時点での固定資産の帳簿価額(b)の差額を計算していきます。

(a)ー(b)が、プラスであれば、固定資産売却益、マイナスなら固定売却損となります。

条  件科  目
売却代金>帳簿価額固定資産売却益
売却代金<帳簿価額固定資産売却損・処分損
売却代金=0 固定資産売却損・処分損

減価償却費を正しく計算することで、固定資産売却益、固定資産売却損・処分損のどちらになるかが分かります。

売却の意思決定前に、売却時点の帳簿価額を把握しておくといいでしょう。

勘定科目を簡単に説明します

マツオカ
マツオカ

車両運搬具売却損・処分損
法人が所有する車両を売却した場合の売却代金(収入)ー帳簿価額の差額がマイナスになった場合の金額が売却損になり、車両を処分した時に残っている帳簿価額が処分損になります。
車両を帳簿価額より低い金額で売却した場合や車両を処分した場合に計上します。


科目の正確な内容は、厚生労働省の勘定科目説明でいつでも確認することができます。科目の要点をイメージできるようにしておきましょう。

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勘定科目の解説の一覧

よかった。ありがとう。読んだ人が幸せでありますように。

マツオカ会計事務所のストーリー

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関

マツオカ会計事務所 代表 松岡 弘巳

地方公務員として11年、地方公営企業の財務部門を中心に在籍した後、平成14年から社会福祉法人への会計支援業務を行う。会計支援を通じて出会った、社会福祉法人で働く皆さんの人柄に魅かれ、平成18年 社会福祉法人会計専門の会計事務所として開業した。
地方公務員としての経験と公認会計士としての知識を活かして、社会福祉法人の法人運営の支援を行ってきたことにより、独特の実務経験を有する。

Profile Picture

(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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