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企業主導型保育事業 専門的財務監査

専門的財務監査のポイント⑧ 「3 収入(1)助成金(整備費・運営費等)収入<助成金の他事業への流用の有無の確認>」について ~企業主導型保育事業~

この記事の目次

企業主導型保育事業の専門的財務監査

企業主導型保育事業で交付される助成金は、企業主導型保育事業のためだけに使うことが義務付けられています。

そのため監査では、「助成金が本部や他事業に流用されていないか」を徹底的にチェックします。

特に、決算書の内部取引勘定や通帳の入出金は重点的に見られます。

児童育成協会が公表している専門的財務監査の評価基準のポイントを確認していきましょう。

🟦 「ホームページ利用上のご注意について」
https://office-matsuoka.net/goriyouchui


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専門的財務監査の評価基準の内容とポイントの4コマ漫画
3 収入(1)助成金(整備費・運営費等)収入
<助成金の他事業への流用の有無の確認>

企業主導型保育事業の専門的財務監査の評価基準のうち助成金の流用不可について説明する4コマ漫りゅう画

🌟 1.助成金の流用に関する監査ポイント(ア)


● ア:助成金が本部・他事業へ貸付・繰入されていないか

監査が行う確認

  • 専用口座の入出金の内容
  • 法人本部への転送や貸付
  • 他拠点への不自然な資金移動
  • 決算書の内部取引勘定

評価事項(NG例)

  • 助成金が本部経費に使われている
  • 他の保育事業の運営資金に流れている
  • 一時的でも貸し付けている

社会福祉法人、株式会社その他の法人が特に注意すべき点

  • 他拠点/他事業への貸付金や繰入がないか
  • 同一拠点内でも「企業主導型保育以外」のサービスの経費に使っていないか
  • 資金の動きが説明できる状態になっているか

🌱 2.助成金の流用とは何か(定義)

助成金の流用とは、

企業主導型保育事業に交付された助成金を、他の目的に使うこと

を指します。

以下はすべて流用に該当

  • 他の事業(例:放課後等デイ、介護事業など)の費用支払い
  • 本部の事務費として使用
  • 他拠点への立替・貸付
  • 一時的に借りて後で戻すこともNG(監査は「一時的」も認めません)

🌱 3.決算書の勘定科目で流用が分かるケース

監査では、拠点区分の計算書類に次のような科目があると詳しく確認されます。

【内部取引の例(社会福祉法人の場合)】

  • 事業区分間貸付金
  • 事業区分間繰入金費用
  • 拠点区分間貸付金
  • 拠点区分間繰入金費用

これらの内部取引勘定がある場合、

「助成金が財源になっていないか」を必ず説明する必要があります。

部門間の振替についても、同じように考えていきます。

✔ ポイント

  • 貸付の理由が合理的か
  • 原資が助成金でないと説明できるか
  • 記録(証憑)が残っているか

🌱 4.通帳の動きで見抜かれるケース

助成金専用口座から、他の口座へお金が移動していたり、保育事業と関係のない支出がある場合、
監査人は必ず理由を聞きます。

チェックされるポイント

  • 振替先が保育以外の口座になっていないか
  • 本部口座への資金移動がないか
  • 「一時的だからOK」は監査では通用しない
  • 不透明な目的の振替がないか

🌱 5.法人内の他事業・他拠点への資金移動の注意点

次の資金移動はすべて監査でチェックされます。

✔ 合理的な理由に基づくか

(例:保育事業で発生した費用の立替・精算 → OK)

✔ 不透明な資金移動はないか

(説明できない振込・引出し → NG)

✔ 他事業・他拠点の資金繰り目的ではないか

(意図が明確にNG)


🌱 6.同じ拠点内でも注意が必要

企業主導型保育事業と、同じ拠点で行っている他サービスや実費徴収の費用がある場合、

「助成金でその経費を払っていないか」を確認する必要があります。

  • 光熱費や備品費、レクション費用などで混在が起きやすい
  • 内訳を整理して区分できるようにしておくのが安全

🌱 7.助成金運用の基本は「専用口座」

助成金の流用を防ぐためには、次の3つを守るのが鉄則です。

助成金専用口座を設ける

○ 助成金以外の入金は混ぜない

○ 通帳と銀行印は別の担当が管理

混在が一番トラブルのもと。


🌱 8.助成金の取扱規程

モデル経理規程には助成金の条文がないため、法人ごとに追加整備が必要になります。

整備しておきたい規程

法人が複数の補助金を扱う場合、この規程を作っておくと実務が非常に安定します。


🌟 9.まとめ:助成金の流用は“ゼロ”でなければならない

助成金の流用は、
一時的でも、少額でも、理由があっても NG です。

監査では次がポイントになります。

✔ 他事業や本部への貸付・繰入がない

✔ 拠点間の不自然な資金移動がない

✔ 専用口座を使っている

助成金の対象となる経費以外の経費に使っていない

✔ 規程・証跡が整っている

企業主導型保育事業の信頼性を守るためにも、助成金の目的外使用は絶対に避ける必要があります。

(参考)専門的財務監査の評価基準と社会福祉法人のポイント解説

専門的財務監査の評価基準と項目ごとの社会福祉法人のポイントを掲載しています。

区分監査事項評価事項社会福祉法人のポイント
当該保育施設に交付された助成金が、法人本部や法人本部が営む他の保育施設の運営等に一時的に貸し出されたり、流用されていないか、
受入専用口座の入出金の内容について質問や証拠の閲覧を通じて確かめる。
助成金が法人本部や他事業に流用等されている。○他の事業や他の拠点区分への貸付や繰入などを行っていないか。
○同一拠点区分内の企業主導型保育事業以外のサービスの費用に使用していないか

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企業主導型保育事業の発注規程
積立資産管理規程
企業主導型保育事業の積立資産管理規程
助成金取扱規程
企業主導型保育事業の助成金取扱規程
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企業主導型保育事業の寄附金関係書類

②会計・財務コンサルティングサービス


企業主導型保育事業 各監査での指摘事項 令和4年度~令和6年度

下のリンクから指摘事項のページに進みます。

専門的財務監査専門的労務監査立入調査午睡時抜き打ち調査
4年度4年度4年度4年度
5年度5年度5年度5年度
6年度6年度6年度6年度

企業主導型保育事業に関する4コマ漫画

「まんがの部屋」コーナーでは、内容ごとに4コマ漫画で説明しています。

記事の執筆者のご紹介

著者情報 この記事を書いた人

松岡 洋史

Matsuoka Hiroshi

公認会計士・税理士 
社会福祉法人理事(在任中)
スマート介護士 認定経営革新等支援機関
元地方公務員

マツオカ会計事務所 代表  松岡 弘巳

地方公務員として11年の行政事務経験
社会福祉法人会計専門の公認会計士・税理士として20年の実務経験を有する。
専門分野:社会福祉法人会計・指導監査対応、企業主導型保育事業の会計支援・専門的財務監査対応、介護、障がい福祉、保育の各制度に精通。
都道府県・政令指定都市主催の研修講師多数。

社会福祉法人会計・監査、企業主導型保育事業の専門的財務監査を専門にする公認会計士・税理士 松岡洋史の顔写真。元地方公務員(京都市・上級事務職)として行政事務経験を11年有する

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(筆者:松岡洋史 公認会計士・税理士 専門分野:社会福祉法人会計

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